第27回東北建築賞「作品賞」 秋田県立横手清陵学院中学校・高等学校
雪深い地域ではとかく建物は閉じてしまう傾向にあるが、本作品は積極的に「開く」ことが意識されている。建物は「キャンパスモール」を取り囲むように計画され、そこに実習室等が配置されているため、各学年の活動の様子を伺い知ることができる。この”しかけ”は、生徒が自らの活動を見せる工夫を誘発し、様々なシークエンスを生み出すきっかけを与えており、教育の場として魅力ある空間が創出されている点が高い評価を得た。また、利用者が設計者の意図を十分に理解し運用している点も評価出来る。
建物内部には効果的に木材が利用され、体育館の壁面に施された杉材のルーバーは美しく、吸音効果も期待できる。また、雪を冷熱源とする冷房システムの導入は、積雪地ならではの試みであり、省エネルギー効果が適切に評価されている。各住棟の機能的な配置は、外観のボリュームに重たい印象を与えるが全体の評価を下げるものではない。 以上を総合し、本作品は東北建築賞〔作品賞〕に十分値するものと評価された。 |